Galiani, F (1728.12.2-87.10.30)
 イタリアの経済学者,聖職者,外交官。1756年から69年にかけて駐仏ナポリ大使館員,同全権大使を務め,ディドロらのアンシクロペディストたちと交際した。経済学者としては,その価値論と重農学派に対する批判とによって知られる。
 Della moneta, libri cinque, Naples, 1750; 2nd ed., 1780. (『貨幣について』)は,5篇からなり,金属・貨幣の性質,貨幣価値,貨幣流通および貨幣利子を扱う。本書の主題はあくまで貨幣論であるが,むしろその基礎をなす価値論が有名である。その骨子は次の通り。まず価値を交換比率の問題と規定し,この比率決定の根拠を効用と希少性との二要因に求める。この限りでは,著者は主観価値論者であった。しかし他方では,再生産可能な財貨の価値を労働から説明し,価値は労働者数,労働時間ならびに労働能力の差に依存すると説く。この限りでは,著者は労働価値論の先駆者であった。そして主観価値論者としてはチュルゴー等に影響を与え,また労働価値論の先駆者としてはマルクスによってもそれなりの評価を与えられている。P. Custodi編,Scrittori classici italiani di economia plitica, X-XI, 1803中の復刻版のほか,F. Nicolini版 (1916)があり,仏訳 (1955)もある。
 Dialogues sur le commerce des bleds, Londres, 1770; 2nd ed., 2 vols. Berlin, 1795.(『小麦取引に関する対話』)は,ディドロの手で仏訳・出版された重農主義批判。あらゆる時代,場所,条件を通じて成立する穀物取引の一般理論の存在に不信を表明し,穀物条令=政策はそれぞれの国情,耕作状態等の具体的・現実的な与件に応じてその可否が決定されるべきだと主張した。著者の重農主義貿易論批判は,このような歴史主義・相対主義の立場から重農主義者による穀物取引の自由の絶対化を批判したものであって,決して重商主義的立場からなされたものではない。また他方では重農主義者の商工業の「不生産」性に関する理論をも批判した。なお,この著作に対してはケネーの学とのほとんどが反論を書いている。前出,Custodi編,Scrittori, XII-XIII, 1803中,ならびにE. Daire編,Collection des pricipaux économistes, XV, 1848中に収めれた各版のほか,伊訳 (1775)と数種の独訳とがある。(学)


Della Moneta (socsci.mcmaster.ca)
Della Moneta (ecn.bris.ac.uk)
Della Moneta (unimelb.edu.au)


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