Torrens, R (1780-1864.5.27)
 イギリスの経済学者。職業軍人としてナポレオン戦争に活躍。はやくから経済学に興味を持っていた――処女作The Economists Refuted, 1808(『経済学者論難』)は W. スペンス,コベットらの重農主義的見解を批判――が,戦後休職となってからは,経済問題について精力的な著述および種々の実践活動を行なった。1821年,リカードウ,J. ミル等とともに「経済学クラブ」(Political Economy Club)を創立,26年と31年には国会議員となって貿易・金融政策で活動。30年代にはウェークフィールドに共鳴して南オーストラリアの植民活動に乗出し――Colonization of South Australia, 1835(『南オーストラリア植民論』)――,また通貨主義の立場からイングランド銀行の二部局分離を提案――A Letter ... on the Causes of the Recent Derangement in the Money Market and on Bank Reform, 1837(『貨幣史上の混乱と銀行改革とに関する書簡』)――として,1844年のピール条令を先駆した。理論的には,収穫逓減法則,差額地代論,比較生産費説,賃金生存費説の最も早い提出者の一人であり,その点ではリカードウと同説であるが,価値論では,その批判者として,一般利潤率の成立する資本主義社会での労働価値説の妥当性を原則的に否定し,利潤の源泉もこれを流通過程に求めるなど,むしろマルサスの立場に近い。彼はその多産な著作活動にもかかわらず,独善的で冗長な文体と発行部数の少なかったことなどから従来あまり顧みられなかったが,最近のL. ロビンズの研究 (Robert Torrens and the Evolution of Classical Economics, 1958) で,その全貌を知ることが容易となった。上掲以外の重要著作として,An Essay on the External Corn Trade, 1815(『穀物貿易論』);An Essay on the Production of Wealth, 1821(『富の生産』);On Wage and Combination, 1838(『賃金と団結』);The Principles and Practical Operation of Sir Robert Peel's Bill of 1844 Explained, 1848(『ピール条令の原理と運用』)等がある。(学)


On Wages and Combination (1834) (socsci.mcmaster.ca)
On Wages and Combination (1834) (ecn.bris.ac.uk)
On Wages and Combination (1834) (unimelb.edu.au)


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