教育研究業績書


[著書]

1 The Records of the Nation

 共著  1990年  Boydell (Woodbridge)
 共著者:Peter Spufford, Gim H. Martin, The Lord Mackay of Clashfern, Michael Roper, Elizabeth E. Hallam他14名
 (分担)平成2年10月  312頁 、187〜213頁

 執筆部分第17章タイトル 'The Number of Wills Proved in the Sixteenth and Seventeenth Centuries. Graphs, with Tables and Commentary'

 近年の近代初期イングランド社会経済史の分野で史料として注目され始めている遺言書、つまり遺言者が親族を中心とする人々への財産分与のため作成した検認証書、を年代順に数えた結果、その統計上の趨勢は人口変動と歩調をあわせることを実証し、さらに16世紀後半以降成人男性人口の3分の1を含む、より下層の者による遺言書作成が慣行となり始めることを明らかにした。



[学術論文]

1 「16・7世紀イギリスにおいて検認された遺言書数:家族史研究と史料」

 単著 1994年(平成6年) 東北大学経済学会 研究年報『経済学』第196号 23頁−44頁

 16・7世紀イギリスでおそらく成年男子の3分の1が遺言書を作成することと、遺言書作成という慣行が社会のより下の階層にまで普及したこととを、新たに検討した4地域(エセックス・リンカン・リッチフィールド・サドベリー)からのデータでその実証性を高めた。さらに中央と地方との16世紀後半から17世紀にかけての乖離を一史料の観点からではあるが明らかにした。


2 「ケンブリッジ州ウィリンガム教区における世代継承と人口移動:1510年-1730年」

 単著 1995年(平成7年) 松平記念経済・文化研究所紀要第13号 83頁−113頁

 近代初期英国農村における親族の基本的構造と移動・定住の概要を理解するため、教区住民の出生・結婚・死亡の登録簿を両親・子供の核家族単位に再現した家族復元票を用い、200年間で全体の2割の家族が存続することを実証した。さらに1世代では最大4分の3の新来者を迎えることを見いだしたうえで、特に親が外来の者であるとその子供も定着度は半分以下であり、それは娘においてもっとも顕著であることを明らかにした。


3「近代初期英国農村における学校設立と遺言書作成支援網:ケンブリッジ州ウィリンガム教区の事例を中心に」

 単著 1996年(平8) 愛媛大学法文学部論集 経済学科編『経済学』第31号 85頁ー106頁

16世紀末のウィリンガム教区での村立学校設立をとりあげ、近代初期英国農村における労働と教育のあり方との深い関連性を明らかにした。すなわちイングランド全域で遺言書作成の一般化の基盤が形成される中、ウィリンガム住民が疫病による死亡者数の増大を契機に、より確実な遺贈とそれを裏付ける公私にわたる教育に深い関心を払った事実を見出した。


4「16・7世紀ケンブリッジ州ウィリンガム教区における農民騒擾と社会的経済的関係」

 単著 1996年(平8) 愛媛大学経済学会 『愛媛経済論集』第 15巻第1号 167頁ー189頁

近代初期ウィリンガム教区の農民騒擾を素材として短距離間の人間の移動の構造を考究した。経済の二重構造は農民騒擾への参加者の構成および首謀者の出自にも反映しており、土地無しの階層からは殆ど参加がなかったが、例外は親族間の強い紐帯によるものであった。10〜15マイルの範囲で生ずるごく近距離の移動は、種々の契機、特に親族関係を通じて行なわれ、経済構造の変化に即応しない一面を有した。


5  'Families, Will Witnesses and Economic Structure in the Fens and On the Chalk: Sixteenth and Seventeenth-Century Willingham and Chippenham'

M. Spufford との共著

1996年(平8) Albion 誌 第28巻3号 379頁-418頁

 近代初期英国における社会階層分極化の問題を解くために、ウィリンガムと地理的経済的に対照的なチぺナムという教区を選び家族関係・経済的構造を調べた結果、経済的社会的階層を超えて親族関係が維持され機能していたことを明らかにした。両者共通して親族関係同士にある世帯主の少なくとも半数前後が経済的階層を異にし、より裕福な親族の遺言立会いをより貧しい親族が行うことは決して稀ではなかったのである。

6 「近代初期英国における人口移動および世代継承の比較分析:小都市ゲインズバラと農村ウィリンガム」

 単著 1997年(平9) 『愛媛大学法文学部論集』 総合政策学科編  第1・2合併号
117頁ー145頁

16・7世紀に人口増加が顕著である一方異様に高い乳幼児死亡率を記録したイングランド農村および小都市を比較分析することで、人口移動と世代継承とに関する環境を含めた諸要因を検討した結果世帯主の意外に頻繁な転換を見出した。その転換は農村と都市との関係も形成・維持しながら、親族関係をも含む隣人関係の紐帯を一定程度維持・強化したもので、これまで等閑視されてきた親族紐帯網の普遍性を示唆するものである。


<博士論文>

1 「16・7世紀ケンブリッジ州ウィリンガム教区における親族構造と相続慣行」

 単著 1995年(平成7年) 162頁

 地域社会におけるごく短期間の土地保有規模の細分化と共同地利用の進展が、親族の構造と相続慣行にも影響を与えていることを明らかにした。他方、移民の増加・家族数の増大・家族構成員の減少という状況下生じた、土地保有規模の差異や身分・地位の違いを超える親族間の協働は、家族扶養の責任を主たる動機としつつ、世代の継承に力を果たし、この方向からも、相続慣行は質的変化を迫られるようになることを実証した。


2 「 近代初期英国農村における学校設立と遺言書作成支援網: ケンブリッジ州ウィリンガム教区の事例を中心に」

愛媛大学法文学部論集 経済学科編『経済学』 第31号 1996年2月 85頁より106頁まで、22頁

 16世紀末のウィリンガム教区での村立学校設立をとりあげ、近年研究関心の高まりつつある、近代初期英国農村における労働と教育のあり方との関連を考察した。長期にわたる個人もしくは村落の生活経験を通じて教育の重要性に対する認識が培われ、遺言書作成もその表現の一環とみなすべきであるとする。他方、遺言書作成は教区民に教育の重要性を気づかせる契機ともなる。特に16世紀後半の短い間に多くの移入民を迎えるかたわら多くの死を目の前にして、人々はより確実な遺贈のための工夫とそれを裏付ける、公私にわたる重要事として教育への深い関心を払ったと結論づけた。


3 「16・7世紀ケンブリッジ州ウィリンガム教区における農民騒擾と社会的経済的関係」

愛媛大学経済学会『愛媛経済論集』 第15巻第1号 1996年3月 167頁より189頁まで、23頁。

 近代初期英国農村における農民騒擾にあらわれた重層関係を分析することで従来比較的看過されることの多かったごく短距離の移動の構造を考究した。検討の対象となったケンブリッジ州ウィリンガム教区における経済の二重構造は、農民騒擾への参加者の構成および首謀者の出自にも反映している。土地無しの階層からは殆ど参加者が出ていない中で、例外は親族間の紐帯の強い家族の一員であった。10ないし15マイル程度の範囲で生ずるごく近距離の移動は、種々の契機、特に親族関係を通じて行なわれ、社会的基礎構造を変えながらも一定範囲で生じることを明らかにした。



 MOTO TAKAHASHI HomePageに戻る
 総合政策学科教官Page&Mailリストに戻る
 CPM HomePageに戻る